地方移住して実名でのSNSや顔出しが怖かった私がそれでも発信し続けた理由

織田トマトの日々
あかね
あかね

織田トマト広報担当、織田茜です。

本日をもって今年の収穫と出荷が終わりました。

11月下旬から収穫が始まり、少しずつフルーツトマトらしい

実も増えています。

1月半ばくらいから全国発送のご対応ができたらいいなぁ。

私がSNSを利用するようになったのは、移住して一年経った2015年。

数年後の就農(実際には2017年に就農しました)に向けて、情報を発信する土台を固めておくために今から始めてみよう、という軽い気持ちから既にアカウントを持っていたFacebookを利用し始めました。

ただ、始めた当初は、「実名、顔出し」でSNSをするのがとっても怖かったなぁ。

当時、私が暮らしていたのは、高知県佐川町にある夫の実家。
周りには、夫のご親戚ばかり。

佐川町は人口13,000人弱の小さな町です。
(現在は夫の実家を出て、同じ佐川町でも更に山間の小さな集落で暮らしています)

佐川町での地域の情報元と言えば、町の広報誌と回覧板。


佐川町の広報誌。毎月の配布を楽しみにしています

そして、人伝いの情報伝達。

地域において、地元の方々による情報伝達力というのは、拡散力がとてつもなく凄いです

例えば、移住してくる本人は地域に暮らすお一人おひとりについての詳細を把握していなくても、移住者についての情報の詳細は既に地域の方に知れ渡っている、なんてことは移住者あるあるとしてよく知られています。

しかも、当時の私は、夫のご実家で暮らすというのもあって、「お嫁さんとして夫の家に入る」という意識を強く持っていました。

そのため、「嫁の立場で誰もが見られる公開の場(SNS)に自分の気持ちや日々の出来事を自由に書いていいんだろうか?噂になって夫や義家族に不都合なことにならないだろうか?」と気になってしまい、投稿も書いては消し、書いては消しを繰り返し。

やっと心が決まって「えいっ!!」と投稿ボタンを勢いを借りて推す、そんな状態でした。

けれど、実際にやってみたら当初心配していたことは意外にも起こりませんでした


「トマトの広報×旅」をSNSで発信していることなど、私の経験を高知での就農ご希望の方にお伝えしました

もちろん、SNSと言えども人と人とが交流することに変わりありません。

だから、それぞれのSNSの活用方法を知り、普段の人付き合い同様に誠意とマナーを持って相対すれば、そうそう炎上なども起きません。

そうしてSNSにも慣れ、恐怖も薄れ、私は繋がった方々とのコミュニケーションを楽しむようになりました。

トマト農家になってからもトマトへの想いや私が経験した移住についてのことなどを発信していると、ある日、同じ移住者の方からこんなことを言われました。

「あなたのSNSやブログだけど、みんな意外と見てるよ。知らないところでいろいろ言ってる人もいるから、頻繁に投稿するのは止めた方がいいよ。」

この言葉を聞いた時、SNSを始めた当初に抱いていた、「人からいろんなことを言われるかもしれない恐怖」が再び私の中で姿を現しました。

地方では人の繋がりが狭くて濃い傾向があります。

それがいい方に働くこともあるけれど、目立ってしまうことで時に地方特有の性質がデメリットになったり、日常がとても窮屈になってしまうことがあります。

私はそれがとても怖かった。

だけど、その時ふと思ったんです。

そもそも私はなんでSNSをやってるんだろう?

自問自答した後に出た私の答えは、

怖さを乗り越えてでも伝えたい想いがあるから

トマト農家といっても、トマト農家の数だけ想いがあります。

私たちが日頃、どんな想いでトマトと接し、このトマトを通して人や世の中にどう貢献したいと思っているのか。
そんなことを自分の言葉で伝えたくて、試行錯誤しながらも言葉と向き合っています。

また、私たちが栽培し販売しているのは、人の口に入るものです。
私たちはトマトを召し上がっていただく方に、安心して食べていただきたいと思っています。

口にするものを選ぶ時、詳細も全く分からずどんな人が携わっているものなのか分からないものは、手を出しにくいですよね?

「ちゃんとしたものなのかな?」
「無事に届くだろうか?」

といった不安な気持ちを、お客さまに抱かせてしまうことにもなります。

それよりも、普段から顔を出し、一体自分は何者なのかを明確にして、日常や仕事風景をお伝えし、どんな想いでやっているのかを自分の言葉で伝えている人の方が私は安心しますし、親近感も感じて応援したくなります。


今年10月にトマトハウスの屋根を洗った時の一コマ


織田トマトの農作業着はモンベル。半袖から長袖に衣替えした時の一コマ

実際に、私自身も顔出し&実名でSNSをやっていったことで、購入してくださるお客さまの多くが不安を抱くことなく購入してくださっていると感じます。

また、「トマト」の価格や特徴といったスペックだけではなく、私たちの想いに共感し、信頼して購入してくださっていると勝手ながら思っています。

生産者である農家とお客さまだって、ひとりの人間同士。

目の前のお客さまに対して、どうしたら不安を取り除いてあげることができ喜んでいただけるのかを想像し実践していく中で両者の間に信頼関係が生まれる。

それによって、末永いお付き合いができるんじゃないかと思います。

SNSで顔出しや実名で発信することが怖かった私は、自分の視線が自分だけに向いていました。

でも、私が目を向ける先は私じゃなくて目の前にいる方々なんですよね。

だから、伝えたい想いがあるなら、人の視線が多少気になったとしても名前を名乗り顔を出して自分の言葉で想いを伝える

私たち織田トマトは、遠い存在の生産者という立場ではなく、知り合いから購入するようなそんな距離感でいたい。

その気持ちをいつまでも大事にしトライ&エラーを繰り返しながら、織田トマトのことをこれからもどんどんお伝えしていきます!

 

織田トマト

【夫:織田康嗣】
織田トマト栽培管理責任者
高知県高知市出身

農業を志したのは、幼い頃に見た父の姿がきっかけだった。

平日に会社員として働く父の笑った顔を見たことは無かったが、週末に田んぼで汗を流す父はとにかく笑っていたのが子ども心に強く印象に残っていた。

高校卒業後は、大阪や東京でコンサートなどの音響スタッフやドラマーとして活動。

東京で長年暮らすうちに、「いつかは故郷に帰りたい」と思うように。そんな時、かつて父が楽しそうに田んぼをやっていた姿を思い出した。

2014年、新規就農を決意し高知県へUターン。
2017年、子ども時代に父と田んぼで汗を流した思い出の地、佐川町でトマト栽培を始める。

自分を大切にし愛することが人を大切にし愛することに繋がる。
だからこそ、食べた人が愛で満たされる、そんなトマトを届けるべく、「愛∞無限大!」を合言葉に夫婦二人三脚で日々励んでいる。

ドラマー、音響スタッフとしても高知県内を中心に活動中。

【妻:織田茜】
オンラインショップ、ブログ担当

大学時代に化粧品に魅了され、都内の化粧品メーカーに就職。
これまで10,000人以上の肌相談に対応。
また、美容知識や顧客対応の社内教育にも従事。

2014年、夫と共に高知県に移住し、2017年から夫婦でトマトを栽培。

農業に携わることでこれまで以上に食の力を知り、人は食べるもので作られていることを実感。

「美しさとは健やかであること」との考えから、心とからだを健やかに保つことを作物の力を通して届けたい!
と、トマトたちのお世話はもちろん、ブログ記事の執筆などを精力的に行っている。

織田トマトの日々
愛∞無限大|織田トマト